蛍光灯のひかりが嫌い

日記、たまに紀行

仕事を辞めたこと、あるいは「凪のお暇」について

 

仕事を辞めてから、半年が経過した。

 

 

仕事を辞めてからは、とにかく逃げるように引っ越しをした。

理由は二つ。

元職場が最寄り駅にあったため、職場の人間に出会したくなかったのと、

毎日、同じところをぐるぐる回っているような、前に進みたいのになかなか足が進まないような、そんな惰性で続けている生活に嫌気がさしたからだ。

 

社会人だった頃のことは、正直あまり記憶がない。

記憶がないというより、思い出そうとすると(危険!これはダメな記憶だ!!)

と、記憶にブロックがかかってしまうような感じの方が正しいかもしれない。

 

仕事を辞めてからは、しばらく新しい情報を取り入れることが億劫になってしまって、

過去に好きだったものを、何度も何度も味わうように観たり、聴いたり、読んだりした。

人って、疲れている時ほど、同じものに執着してしまうんだと思う。

 

 

 

そんな中、読み返した作品の中で唯一、救われたものがある。

 

「凪のお暇」

 

という漫画である。

 

知っている方も多いと思うけれど、ざっと簡潔にまとめるとこうなる。

 

” 仕事を辞めて恋人とも別れた女性が、思い切って引っ越しをして、新しい日々をスタートさせる話 ”

 

というような内容だ。

 

正直、このテーマだけですでに泣きそうなんだが、凪ちゃんの貯金切り崩し生活の日々や、転職活動の回など、かわいくてポップな絵柄とは裏腹に、かなりヘビィーな内容となっている。(各エピソードについては、また後日綴りたいと思う‥)

凪ちゃんは自分の将来に迷いながらも、スナックでアルバイトを始め、少しずつ少しずつ人の輪を広げていく。

凪ちゃんのように、社会の域に囚われず、自己流の幸せを見つけようと努力している人を見ると涙が出てしまう。ああ、なんて愛おしい。

 

 

仕事を辞めてからは、縋るような気持ちで、この漫画を何度も何度も繰り返し読み返した。

そんな無職引きこもり生活が1ヶ月ほど続いたとき、ある転機が訪れる。

 

『よく行く喫茶店がアルバイト募集している!!!』

 

わたしのための求人かと思った。

どうせ人生は一度しかないのだし、私も好きなところで働いてみよう、そう思うようになったのだ。

すぐに応募し、その場で採用となり、次の週から働くことになった。

 

初めての喫茶店勤務。

現実逃避かもしれないけれど、身体的に、精神的に弱っていた私には、心の安堵が保てるステキな労働環境だった。

憂鬱だった明日に、少し楽しみができた。

 

私が働き出した喫茶店は、老舗の古い喫茶店で、店内はステンドグラスの窓や深いボルドーの椅子など、重厚感のある素敵な内装だった。おまけにBGMはクラシックときている。

 

基本シフトは、モーニングかランチかの二つで、特に私はモーニングの時間帯のシフトが大好きだった。

 

朝、新聞を必ず読みに来る常連のお爺ちゃん。珈琲を3口ほど飲んですぐ帰ってしまう人。大きな花束を持ってソワソワとだれかを待ち続ける男性。早朝からパフェを食べる女性。海の映像を見ながら瞑想(?)をする人など。

 

たしかに、そこにはそれぞれの朝があった。

知らない人の1日の始まりを覗き見ることができるなんて、なんだかとても特別なことのように感じた。

 

そんなこんなで、喫茶店勤務がその後数ヶ月続くのだが…

長くなりそうなので喫茶店でのお仕事については、また後日、詳しく綴りたいと思います。

 

 

 

 

そういえば、誰だったか、偉人の言葉に

「幸福とは、幸福をさがすことである」

というものがある。

凪のお暇のことを考えると、どうしたってこの言葉を思い出すのである。

もしかしたら、幸福を探そうとしているうちは、まだ幸福なのかもしれない。